シニア猫のごはん|食べる量が減ってきたときの工夫と受診の目安
この記事でわかること
- シニア猫の食べる量が減る理由と、「年のせい」だけではないこと
- 食べないときに、すぐ獣医さんに相談したい目安
- 温め方・お皿の高さ・置き場所など、おうちでできる工夫
前はお皿をぴかぴかにしていたのに、最近はちょっと残すようになったな。そんなふうに、シニアの子のごはんのようすが気になる日がありますよね。
猫は年を重ねると、からだの中でいろいろな変化が起こります。食べる量が少し減るのは、その変化のひとつのこともあれば、どこかの不調のサインのこともあります。この記事では、まず確かめたい受診の目安 と、おうちでできる食べやすくする工夫 をまとめました。
食べる量が減るのは、どうして?
年を重ねると起こりやすい変化
カナダ獣医師会(CVMA)の資料では、12歳をこえた猫では、脂肪を消化する力が落ちる子がいることが紹介されています。ある研究では、高齢の猫のおよそ3分の1で脂肪の消化が大きく下がり、およそ2割でたんぱく質の消化も下がっていたそうです。同じ資料では、12歳をこえた猫のおよそ15%がやせ気味の体型だったとされています。
また、アメリカ猫臨床医協会(AAFP)の記事では、人は年とともににおいや味を感じにくくなることが知られていて、猫にも同じことが起きている可能性がある、と紹介されています。猫にとって、においは「おいしそう」を感じる大切な手がかりです。
「年のせい」だけではないことも
英国の動物病院チャリティPDSAの解説では、食欲が落ちる原因として、こんなものが挙げられています。
このほか、熱がある、心臓や膵臓、肝臓の病気なども原因になることがあるとされています。International Cat Careの解説でも、歯の痛みがあると、片側だけでかむ、食べものを落とす、よだれが出る、口を前足でさわる、といったようすが見られることがあると紹介されています。
まず確かめたい:すぐ相談したい目安
- ほとんど、またはまったく食べない:コーネル大学の猫の健康センターの解説では、おとなの猫は 24時間ほど食べないだけでも、健康に深刻な影響が出ることがあるとされています。
- 食べないうえに、吐く・下痢をする・ぐったりしている
- 耳の内側や歯ぐきが黄色っぽく見える
- 食べたそうにお皿の前まで来るのに、食べずに離れてしまう
猫は、食べない状態が続くと、肝リピドーシス(脂肪肝)という肝臓の病気のリスクがあるとPDSAは注意しています。コーネル大学の解説では、この病気は太りぎみの猫に多いものの、どの年齢の猫にも起こることがあり、早く治療しないと命にかかわることがあるとされています。「シニアだから少食なのかな」と様子を見すぎないことが大切です。
- 元気で、いつもより少し残す程度
- 体重が減っていない
- 獣医さんに相談して、病気の心配が少ないと言われている
- ほとんど食べない日がある
- 体重が少しずつ減っている
- 食べ方がおかしい(口を気にする、こぼす)
- よく飲む・吐くなど、ほかの変化もある
おうちでできる、食べやすくする工夫
人肌くらいに温めてみる
AAFPの記事で紹介されている研究では、8〜14歳(平均およそ11歳)の猫32頭に、温度のちがうウェットフードを出してくらべました。すると、体温に近い37℃のフードを、21℃や6℃のフードより、はっきり多く食べた という結果でした。冷蔵庫から出したての6℃のフードが、いちばん好まれなかったそうです。温めると、においの成分が変わって、よりおいしそうに感じるのでは、と考えられています。
- ひと口ぶんだけ温めるいつものウェットフードを、少しだけ耐熱のお皿にとります。
- よく混ぜて、温度をたしかめる電子レンジで温めると、一部だけ熱くなることがあります。よく混ぜて、指でさわって「人肌くらい」になっているか確かめます。
- 食べたら、記録しておく温めたときと、そうでないときの食べ方のちがいをメモしておくと、うちの子に合うやり方が見つかります。
食べやすい高さと、行きやすい場所に
International Cat Careの解説では、関節が痛いと、床のお皿まで頭を下げるためにひじを曲げるのがつらくなることがある、とされています。少し高さのある台にお皿をのせると、楽な姿勢で食べられることがあります。
コーネル大学の解説では、年を重ねた猫には、階段をのぼらなくてもごはんやお水に届くように、お皿を何か所かに置くこともすすめられています。CVMAの資料でも、静かで行きやすい場所に、いつでも食べられるドライフードを置いておくことが紹介されています。
ドライとウェット、どちらがいいの?
ウェットフードは水分が多いのがうれしいところです。ただ、CVMAの資料では、ウェットフードはドライフードよりカロリーがひかえめなので、少ししか食べられない子では、必要なエネルギーが足りなくなることがある と注意されています。また、シニア向けのフードはカロリーをおさえたものが多く、やせてきた子には合わないこともあるそうです。
「シニア用だから」「ウェットだから」と決めてしまわずに、いまのうちの子の体重や体型に合っているかを、獣医さんと相談しながら選んでいきましょう。
フードを変えるときは、ゆっくり
PDSAの解説では、急なフードの変更や、ごはんの場所が変わることも、食欲が落ちるきっかけになるとされています。CVMAの資料でも、ごはんを変えるときは少しずつにして、食べる量を見守ることがすすめられています。新しいフードを混ぜる割合は、フード切り替え表で日ごとに見られます。
また、コーネル大学の解説では、食べない猫に無理やり食べさせるのはおすすめされていません。うまくいかないうえに、ごはんそのものを嫌いになってしまうことがあるそうです。
- 冷たいままではなく、人肌くらいに温めてみた
- お皿の高さや置き場所を、楽に届くように見直した
- ごはんの場所は、静かで落ち着けるところにある
- フードを変えるときは、少しずつ混ぜている
- 無理に口に入れず、食べたくなる工夫をしている
食べた量と体重を、記録しておこう
CVMAの資料では、高齢の猫の体重や筋肉が落ちてきたときは、「年のせい」と決めつけずに原因を調べることがすすめられています。体重の減り方は「(前の体重-今の体重)÷前の体重」の割合で見ると、変化がわかりやすくなります。同じ資料では、慢性腎臓病と診断されるより最大で3年ほど前から、体重が減りはじめることがあるとも紹介されています。ゆっくりした変化ほど毎日見ていると気づきにくいので、数字で残しておくことが大切です。
- 出した量と、残した量:「半分くらい」「ひと口残す」など、ざっくりでも続けることが大切です
- 食べ方のようす:片側でかむ、こぼす、途中でやめる、など
- 体重は週に1回:同じ体重計・同じ時間帯で量ると比べやすくなります
- ためした工夫:温めた、台を使った、などもメモしておきましょう
前回からの増え方・減り方は体重チェックで、1日のカロリーのおおよその目安はごはんの量の目安で計算できます。ただ、計算はあくまで目安です。シニアの子は、やせてくる子もいれば太りやすい子もいるので、獣医さんと相談しながら決めていきましょう。体重が少しずつ減っているときは、体重が少しずつ減ってきたときに見ておきたいことも読んでみてください。
まとめ
シニアの子の「食べる量が減った」は、年齢による変化のこともあれば、口や関節の痛み、病気のサインのこともあります。まずは食べない時間が長くならないように気をつけて、心配なときは早めに獣医さんへ。そのうえで、温める・高さを変える・場所を見直す、といった小さな工夫を、うちの子のようすを見ながらためしてみてくださいね。
この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。
参考にした情報
- Cornell Feline Health Center「Anorexia」
- Cornell Feline Health Center「Hepatic Lipidosis」
- PDSA「My cat isn't eating」
- American Association of Feline Practitioners「June Timely Topics 2022」(シニア猫と温めたウェットフードの研究)
- Canadian Veterinary Medical Association「Meeting the nutritional needs of senior cats」(PDF)
- International Cat Care「How to spot signs of pain in cats」
- Cornell Feline Health Center「Loving Care for Older Cats」
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