シニア猫が暮らしやすい部屋づくり|段差・トイレ・寝床・温度の工夫
この記事でわかること
- シニア猫にとって、おうちのどこがたいへんになりやすいか
- 段差・トイレ・寝床・ごはんの場所の工夫を、間取り図で
- 暑さ寒さの逃げ場と、目や耳が弱くなってきたときの気くばり
お気に入りだった窓ぎわに、最近あまりのぼらなくなったな。トイレのふちをまたぐとき、ちょっともたついているみたい。シニアの子と暮らしていると、そんな小さな変化に気づくことがありますよね。
猫は年を重ねても、できるだけいつもどおりに過ごそうとします。だからこそ、おうちの方を少しだけ猫に合わせてあげる と、ぐっと暮らしやすくなることがあります。この記事では、段差・トイレ・寝床・温度の4つを中心に、おうちでできる工夫をまとめました。
うちの子がいまどのライフステージにいるかは、年齢換算で確かめられます。アメリカの獣医さんの団体(AAHAとAAFP)のガイドラインでは、10歳ごろからがシニアとされています。
シニアの子にとって、たいへんになりやすいこと
英国の猫の保護団体Cats Protectionの資料では、12歳をこえた猫の80%以上(5頭に4頭以上)に、レントゲンで関節炎の変化が見られる とされています。関節炎があると、ジャンプやのぼりおりをためらう、背中やしっぽの毛づくろいがしにくくなる、トイレを避ける、といった変化が出ることがあるそうです。
つまり、高いところ・段差・ふちのあるトイレは、シニアの子にとって「ちょっとがんばらないといけない場所」になりやすいのです。まずは、おうちの全体を猫の目線で見わたしてみましょう。
段差:ステップとすべりどめで、のぼりやすく
コーネル大学の猫の健康センターの解説では、お気に入りの場所にジャンプできなくなった子には、箱のステップやスロープ、ペット用の階段 を置いてあげることがすすめられています。表面にカーペットなどをはると、足がすべりにくくなります。
- うちの子のお気に入りの場所を書き出す窓ぎわ、ソファ、ベッドの上など、よくのぼっていた場所を思い出してみます。
- あいだにステップを置く箱や低い家具を置いて、高さを分けます。AAFPの飼い主向けサイトでは、スロープならゆるやかな傾きのものがすすめられています。
- 通り道と、お皿のまわりにすべりどめを階段や通り道、お皿のまわりに、ラグやすべりどめマットを。めくれないように、両面テープなどでとめておくと安心です。
トイレ:ふちを低く、近くに
コーネル大学の解説では、トイレは各階に置いて、行きやすくする ことがすすめられています。おしっこはトイレでできるのに、うんちのときだけ外でしてしまう子には、ふちのとても低いトイレを使う工夫も紹介されています。
AAFPの飼い主向けサイトでは、入り口の低いトイレを、音や人通りの多い場所からはなして置くこと、大きさは 鼻先からしっぽの付け根までの長さの1.5倍以上 で中で向きを変えられるものにすること、やわらかい固まる砂を使ってこまめにそうじすること、がすすめられています。多頭飼いなら、トイレの数も見直してみましょう。必要な数と置き場所の考え方はトイレの数チェックで確かめられます。
寝床:あたたかく、すきま風のない場所に
コーネル大学の解説では、やわらかいお気に入りの寝床を すきま風のあたらない場所 に置くことがすすめられています。そのうえで、動きがゆっくりになった子は暑すぎても自分で逃げられないことがあるので、温めすぎに気をつけるように、とされています。
- クッション性があって、やわらかい
- すきま風があたらない、静かな場所
- のぼりおりしなくても行ける高さ
- まわりにふちのあるベッドや、ドーム型
- 窓やドアのそばで、風が通る場所
- ヒーターに直接ふれる置き方(やけどのおそれ)
- 暑くなっても、ほかに移れない場所
AAFPの飼い主向けサイトでも、ペット用のヒーターを使うなら、すきま風のない場所で、熱源に直接ふれないようにすることがすすめられています。ふちのあるベッドやドーム型のベッドは、安心して休みやすいそうです。
温度:暑さ寒さの「逃げ場」を
東京都の案内では、ペットの熱中症を防ぐために、エアコンで温度と湿度を管理すること、涼しい場所へ自由に移動できるようにすること、いつでもきれいなお水を飲めるようにすること がすすめられています。環境省の資料でも、ペットが自分で快適な場所に移動できるようにすることが挙げられています。
このサイトの暑さ寒さチェックでは、室温21〜28℃未満で、湿度が極端でないときを「快適」としています(このページでの目安です)。温度計は、猫がよくいる高さや場所の近くに置くと、うちの子が感じている温度に近くなります。
目や耳が弱くなってきたら
コーネル大学の解説では、目が見えにくくなってきた子には 夜に足元のあかり を、目が見えない子には、トイレや家具の場所を変えずにおくことがすすめられています。耳が聞こえにくい子には、うしろからではなく前から近づいて、びっくりさせないようにしましょう。
AAFPの飼い主向けサイトでも、ごはんやトイレの場所はなるべく変えず、変えるときは、うちの子がもう届かなくなったときだけにして、少しずつ変えることがすすめられています。
においや音、ほかの猫との関係も
AAFPの飼い主向けサイトでは、シニアの子のために、大きな音やおうちの中のばたばたをできるだけ少なくすることや、強いにおい(そうじ用の洗剤、香水、お香、たばこの煙、香りつきのろうそくなど)を避けることもすすめられています。
多頭飼いのおうちでは、通り道や部屋の出入り口を1か所だけにしないこと、ぎくしゃくしているときは、ごはん・お水・トイレ・寝床をそれぞれの子のために別々の場所に用意することが挙げられています。若い子に追いかけられて、シニアの子がトイレやごはんに行きにくくなっていないかも、ときどき見てあげましょう。多頭飼いの工夫は多頭飼いの健康管理のコツでも紹介しています。
- お気に入りの場所に、ステップやスロープがある
- 通り道とお皿のまわりに、すべりどめがある
- ふちの低いトイレが、行きやすい場所にある
- すきま風のない、やわらかい寝床がある
- 暑いとき・寒いときに、自分で移れる場所がある
- ごはん・お水・トイレの場所を、急に変えていない
部屋の工夫をしても、のぼらない・トイレを失敗するといった変化が続くときは、関節の痛みや病気がかくれていることもあります。まいにちのチェックのしかたはシニア猫のまいにちチェックリストで紹介しています。
まとめ
シニアの子の部屋づくりは、「段差を小さく」「トイレは近く低く」「寝床はあたたかく、すきま風なし」「暑さ寒さの逃げ場を」の4つが基本です。全部をいちどに変えなくても大丈夫。うちの子がよく使う場所から、ひとつずつ整えてあげてくださいね。
この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。
参考にした情報
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