診断ではなく「記録」と「獣医さんへの相談の準備」のための情報をお届けしています
シニア猫

猫の関節の痛みに気づくサイン|ジャンプしなくなったら見てほしいこと

この記事でわかること

  • 猫の関節の痛みが、気づかれにくい理由
  • ジャンプ・毛づくろい・トイレなど、見ておきたいサイン
  • 相談のときに役立つ記録と、痛み止めを自己判断であげない理由

前はキャットタワーのてっぺんまで、ひとっとびだったのに。最近は下の段で休んでいることが多いかも。そんな変化に気づいたら、それは関節の痛みのサインかもしれません。

猫は痛みをかくすのがとても上手な動物です。足を引きずるような目立つサインよりも、「前はしていたことを、しなくなる」 という形であらわれやすいといわれています。この記事では、気づきたいサインと、獣医さんに相談するときに役立つことをまとめました。

猫の関節の痛みは、気づかれにくい

年を重ねた猫には、とても多い

コーネル大学の猫の健康センターの解説では、10歳以上の猫100頭のレントゲンを調べた研究で、12歳をこえた猫の90%に、関節の病気(変形性関節症)の変化が見られた と紹介されています。英国のCats Protectionの資料でも、12歳をこえた猫の80%以上(5頭に4頭以上)に、レントゲンで関節炎の変化が見られるとされています。

また、コーネル大学の解説では、別の研究で、1歳以上の猫のおよそ2割に、すでに何らかの関節炎があったとも紹介されています。シニアの子だけの話ではないのですね。

「年のせい」に見えてしまう

コーネル大学の解説では、はじめのうちのサインはとても小さく、体がこわばる、動きが少なくなる、だるそう、あたたかい場所や日なたでじっと休むことが増える、といった形であらわれるとされています。どれも「年をとったからかな」と思ってしまいやすい変化です。

ジャンプの変化に注目

前は少しずつさらに たな たな ? たな いす ひとっとびで上へ のぼる前にためらう 途中に寄り道する
ジャンプのしかたは、少しずつ変わることが多いもの。「のぼらなくなった」だけでなく、「ためらう」「寄り道する」も小さなサインです。

Cats Protectionの資料では、関節炎のサインとして、ジャンプやのぼるのをためらう・むずかしそうにする ことや、休んでいる時間が増えることが挙げられています。International Cat Careの解説でも、家具や階段の前でためらう、歩き方がぎこちない、遊ぶことが減る、といった変化が痛みのサインとして紹介されています。

見てあげたいのは、こんなところです。

  • 前はよくのぼっていた場所に、のぼらなくなった
  • のぼる前に、しばらくじっと見上げている
  • 途中のいすや箱を使って、何回かに分けてのぼる
  • 階段をのぼりおりするのを避ける

ジャンプのほかに、気づきたいサイン

背中の中ほど毛がぼさっとする しっぽ毛づくろいが減る 足・爪爪がのびすぎる 動き寝起きがぎこちない
痛みがあると、体をひねる毛づくろいや、爪とぎがしにくくなることがあります。
毛づくろい背中やしっぽがぼさぼさ
トイレトイレの外でする、またぐのがつらそう
ふれあいさわると怒る、なでられるのを避ける
休み方夜に落ち着かない、あたたかい場所にじっと

Cats Protectionの資料では、こんな変化も関節炎のサインとして挙げられています。

  • 休んだあとに体がこわばっていて、動くうちにほぐれてくる
  • 背中の中ほどやしっぽの毛づくろいがしにくくなる
  • 怒りっぽくなる、遊びに興味を示さなくなる、トイレを避ける、夜に落ち着かない
  • 寒い日や、じめじめした日に悪くなる

International Cat Careの解説では、爪とぎや毛づくろいがしにくくなって、爪がのびすぎたり、毛玉ができたりすることもあるとされています。コーネル大学の解説でも、進んでくると、トイレを使いにくくなる、階段を避ける、歩き方が変わる、便秘、毛づくろいが減る、といった変化が出ることがあると紹介されています。

「性格が変わったかな?」も、痛みのサインのことがある

International Cat Careの解説では、痛みのある猫は、いつもとちがう場所にかくれる、人やほかの猫を避ける、なでられるのを楽しまなくなる、近づいたりさわったりしたときにうなる・シャーと言う・手を出す、といった変化を見せることがあるとされています。

トイレの外でおしっこやうんちをしてしまうのも、トイレに入るのが痛くてつらいから、ということがあるそうです。「わがままになった」「年をとって気むずかしくなった」と思っていた変化が、じつは痛みのせいだった、ということもあります。叱らずに、まずは体のどこかがつらくないか、考えてあげてくださいね。

相談するときに、役立つこと

関節の痛みは、診察室では見えにくいことがあります。おうちでのようすを伝えられるように、準備しておきましょう。

  1. 動画を撮っておくのぼるところ、降りるところ、歩くところ、寝起きのようすを、ふだんの場所で撮っておきます。
  2. 「いつから」をメモするのぼらなくなった場所や、気づいた日を書いておきます。前にできていたことと、今のちがいがわかると伝わりやすくなります。
  3. ほかの変化もいっしょに毛づくろい、トイレ、食欲、さわられたときの反応なども、あわせて書いておきます。
  4. メモにまとめて持っていく通院メモなら、質問に答えるだけで獣医さんに見せられる形にできます。

コーネル大学の解説では、診断には、これまでのようすの聞き取り、体の診察、関節の診察、レントゲンなどが使われるとされています。International Cat Careでは、うごきの変化を記録できるチェックリストも用意されていて、受診前に記録しておくのに役立つと紹介されています。受診の準備は動物病院に行く前にまとめておくことでもくわしく紹介しています。

痛み止めは、自己判断であげない

人の痛み止めは、あげないで人の痛み止めや解熱剤を、猫にあげてはいけません。Cats Protectionの資料では、イブプロフェンのような身近な消炎鎮痛薬でも、猫には毒性が強く、命にかかわることがあるとされています。コーネル大学の解説でも、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェンは、猫の中毒のよくある原因として挙げられています。前に処方された猫の薬も、自己判断で使わずに、必ず獣医さんに相談してください。

Cats Protectionの資料では、獣医さんのもとで行う治療として、長く使う消炎鎮痛薬(使う前や使っているあいだに血液検査が必要になることもあります)や、月に1回の注射などが紹介されています。サプリメントは効果の裏づけがまだ少なく、獣医さんにすすめられたときだけ使うように、とされています。どの治療が合うかは、うちの子の体の状態によってちがうので、獣医さんとよく相談しましょう。

おうちでできるサポート

Cats Protectionの資料では、おうちでできる工夫として、こんなことが挙げられています。

おうちの工夫
  • 箱や家具をステップに:お気に入りの場所に、小さな段差でのぼれるように
  • あたたかい寝床:クッションのきいたベッドを、あたたかくて安全な、行きやすい場所に
  • ふちの低いトイレ:またぎやすい高さで、行きやすい場所に
  • 体重を健康的に:太りすぎは関節の負担になるので、ちょうどいい体重を保つ
  • ほどよく遊ぶ:無理のない遊びで、体を動かす

コーネル大学の解説でも、ステップやスロープには、カーペットなどをはってすべりにくくすることがすすめられています。うちの子の年齢やライフステージは、年齢換算で確かめられます。まいにちのようすの見方はシニア猫のまいにちチェックリストもあわせて読んでみてください。

痛いって言えないかわりに、のぼるのをちょっとやめてみたり、毛づくろいをお休みしたりするの。気づいてくれたら、うれしいな。

まとめ

猫の関節の痛みは、「ジャンプしなくなった」「毛づくろいが減った」「トイレの外でしてしまう」といった、小さな変化であらわれやすいものです。年のせいかなと思ったら、動画やメモを持って、一度獣医さんに相談してみてください。そして、人の痛み止めは絶対にあげないこと。痛みがやわらぐと、また好きな場所でのんびりできるようになるかもしれません。

この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。

参考にした情報

この記事といっしょに使えるねこツール

きょうのうちの子を、30秒で記録してみませんか?

まいにち記録をつける

あわせて読みたい