猫がお水を飲まないときの工夫と、飲む量の目安
この記事でわかること
- 1日にとりたい水分の目安と、ドライ・ウェットで飲む量がちがう理由
- お皿の選び方、置き場所、数のふやし方など、飲んでもらう工夫
- 歯ぐきや皮ふでわかる脱水のサインと、すぐに受診したいとき
お水のお皿、ちゃんと減っているかな。あまり飲んでいるところを見かけないと、ちょっと心配になりますよね。
猫のお水の好みは、お皿の形や置き場所、お水の種類など、思ったよりもこまかいもの。ちょっとした工夫で、飲んでくれるようになることもあります。この記事では、飲む量の目安と、おうちでできる工夫をまとめました。
1日にとりたい水分の目安
獣医さん向けの栄養学の本(IVIS「Encyclopedia of Feline Clinical Nutrition」)では、猫が1日に必要とする水分は、体重1kgあたり55〜70mLくらいとされています。これは、お皿から飲むお水だけでなく、ごはんにふくまれる水分も合わせた量です。
| 体重 | 1日にとりたい水分(ごはんの水分もふくむ) |
|---|---|
| 3kg | 約165〜210mL |
| 4kg | 約220〜280mL |
| 5kg | 約275〜350mL |
ドライとウェットで、お皿から飲む量はちがう
同じ本では、ドライフードの水分は7〜8%くらいしかないとされています。そのため、ドライ中心の子は、必要な水分のほとんどをお皿から飲むことになります。
いっぽう、ウェットフード中心の子は、ごはんから水分をたっぷりとれるので、お皿からはほとんど飲まないこともあるとされています。それでも、からだ全体の水分のバランスは変わらないそうです。「ウェットの子があまり飲まない」のは、ふつうのことが多いんですね。
体重を入れると目安がわかるお水の量チェックでは、ごはんのタイプも選べます。ウェットからドライに切り替えたばかりのときは、飲む量が追いつかないこともあるので、いつもより気にかけてあげましょう。
多すぎるときも、気にかけて
反対に、獣医さん向けの学会資料(WSAVA 2002年の講演)では、1日に体重1kgあたり100mLより多く飲んでいたら「飲みすぎ(多飲)」とされています。「最近急によく飲むようになった」と感じたら、それだけでも獣医さんに伝える価値があります。くわしくは猫のおしっこの回数や量が増えたときのチェックポイントにまとめています。
飲んでもらうための工夫
International Cat Careの「猫にお水を飲んでもらうには」という解説や、獣医さん向けの栄養学の本には、たくさんのヒントがのっています。できそうなものから、ひとつずつためしてみてくださいね。
お皿の選び方
置き場所と数
- ごはんのとなりに置かない:International Cat Careでは、猫はごはんのすぐそばで飲むのを好まず、ごはんとお水を別の場所にすると、よく飲むとされています。ごはんとお水がくっついたお皿も、さけたほうがよいそうです
- ごはんやトイレから50cm以上はなす:獣医さん向けの栄養学の本で、すすめられている距離です
- しずかな場所に:よく開け閉めするドアや、洗濯機など音の出る機械のそばはさけます
- 壁にくっつけない:まわりのどこからでも近づける場所が安心です
- 何か所かに置く:遠くまで歩かなくていいように、2階があるおうちは階ごとに置くのもおすすめです
- 多頭飼いなら「猫の数+1つ」:International Cat Careでは、猫1匹につき1つ以上、さらにもう1つ置くことがすすめられています
お水の種類や、ごはんの工夫
- 流れるお水が好きな子には、ペット用の給水器(少しずつ慣らす)
- お水は、なるべく常温で
- ウェットフードを取り入れる(ごはんを変える前に獣医さんに相談)
- ウェットフードに、常温のお水を少し足す
- 塩分のあるスープや煮汁、だし
- 牛乳
- 玉ねぎが入ったもの(猫には毒になります)
- お水を足しすぎて、ごはんを食べなくなること
International Cat Careの解説では、お水を足しすぎると、食べてくれなくなったり、栄養のバランスがくずれたりすることがあるので、足す量は獣医さんと相談を、とされています。ドライフードがふやけた食感をいやがる子もいるので、ようすを見ながら少しずつにしましょう。また、猫は急な変化が苦手なので、新しいことはひとつずつ、ゆっくりためすのがコツです。
ウェットフードを取り入れるときは
ウェットフードをふやすときも、いきなり全部を変えずに、少しずつ混ぜて慣らしていくのが安心です。International Cat Careの解説でも、猫は急な変化が苦手なので、変えるときはゆっくり、とされています。持病がある子や療法食を食べている子は、ごはんを変える前に獣医さんに相談してください。進め方は猫のフードの上手な切り替え方にまとめています。
関節が弱くなってきたシニアの子は、低い場所で前かがみになるのがつらいこともあるので、少し高さのある台にお皿をのせてあげると飲みやすくなることがあります。
脱水のサインを知っておく
AAHA(米国動物病院協会)の飼い主さん向けの解説では、おうちで確かめられる脱水のサインが紹介されています。
AAHAの解説では、歯ぐきがねばついて指がくっつくようなら脱水していて、すぐに動物病院へとされています。また、肩のあいだの皮ふをやさしくつまんだとき、1〜2秒たっても形が残るときも受診を、とされています。目がくぼんで見えるのは、脱水がひどいときのサインです。
- 歯ぐきがねばつく、目がくぼんで見える
- お水もごはんも、ほとんどとらない
- ぐったりしている
- ひどい下痢や、長く続く下痢がある(PDSAでは、脱水につながることがあるとされています)
- トイレで何度も力んでいるのに、おしっこが出ていない(とくにオスの猫はつまりやすく、コーネル大学の解説では、つまってから1〜2日たたずに命にかかわることもあるとされています)
International Cat Careでも、飲みすぎ・飲まなすぎが気になるときは獣医さんに相談をとされています。腎臓の病気や膀胱炎、尿路結石、糖尿病などがある子は、お水を多めにとったほうがよいこともあるので、その子に合った方法を聞いてみてください。
記録するときは
飲む量は、朝にお皿へ決まった量(たとえば300mL)を入れて、次の日の同じ時間に残りを量ると、だいたいわかります。お水は少しずつ蒸発もするので、何日か続けて平均を見るのがおすすめです。お水を何か所かに置いているときは、すべてのお皿を量って合計しましょう。ウェットフードを食べている子は、ごはんからも水分をとっているので、お皿の量だけで「少ない」と決めつけないでくださいね。
まとめ
猫が1日にとりたい水分は、ごはんの水分もふくめて体重1kgあたり55〜70mLくらい。ウェット中心の子があまり飲まないのは、ふつうのことが多いです。
広くて浅いお皿、ごはんやトイレからはなれた静かな場所、何か所かのお水。小さな工夫を、ひとつずつ、うちの子の好みに合わせてためしてみてください。そして、歯ぐきのねばつきや、ぐったりしているようすがあるときは、迷わず動物病院へ。
この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。
参考にした情報
- Horwitz ほか「Water Drinking in Cats」Encyclopedia of Feline Clinical Nutrition(IVIS)
- International Cat Care「How to encourage your cat to drink」
- International Cat Care「Increased thirst and drinking」
- FOUR PAWS「Cat-Friendly Water Bowl」
- PDSA「What to do if your cat/dog can't pee」
- PDSA「Diarrhoea after a change of food(cats)」(PDF)
- AAHA「5 Things You Need To Know About The AAHA/AAFP Fluid Therapy Guidelines」
- Nelson「Polyuria, Polydipsia and Diabetes Insipidus」WSAVA 2002 Congress(VIN)
- Cornell Feline Health Center「Feline Lower Urinary Tract Disease」
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