診断ではなく「記録」と「獣医さんへの相談の準備」のための情報をお届けしています
体重と体型

太りぎみの猫のダイエット|少しずつ減らす考え方と進め方

この記事でわかること

  • 猫のダイエットは、1週間に体重の1%前後のゆっくりペースが目安なこと
  • 急にごはんを減らしたり、食べない日が続いたりすると危ない理由
  • ごはん・おやつ・遊びの見直し方と、2週間ごとのふり返り方

だっこしたときに「あれ、ずっしりしてきたかも」と感じたり、上から見たときに腰のくびれがわからなくなっていたり。ぽっちゃりした姿もかわいいけれど、うちの子の体のことを考えると、少し気になりますよね。

猫のダイエットでいちばん大切なのは、急がないことです。人のダイエットのように「今月中に何kg」と考えるのではなく、何か月もかけて、少しずつ体を軽くしていきます。この記事では、その考え方と進め方をまとめました。

ごはんが急に少なくなったら、ぼく、びっくりしちゃう。ゆっくり、いっしょにがんばろうね。
はじめる前にこの記事は、ダイエットの一般的な考え方をまとめたものです。PDSA(イギリスの動物病院チャリティ)は、ダイエットはまず動物病院に行くところからとしています。体重が増えた理由に、甲状腺などの病気がかくれていないかを見てもらえるからです。目標の体重やごはんの量は、かかりつけの獣医さんといっしょに決めてくださいね。

まずは体型をたしかめる

体重の数字だけでは、骨格の大きい子・小さい子のちがいがわかりません。そこで獣医さんは、見た目とさわり心地で体型を点数にする「ボディコンディションスコア」を使います。AAHA(米国動物病院協会)の解説では、9段階のうち4〜5が、多くの子にとって理想とされていて、肋骨がうすい脂肪の下にさわってわかるくらいが目安です。

おうちでは、体型チェックで「上から・横から・さわって」の3つを見てみてください。体重の目安や体型の見方は、猫の体重はどれくらいが目安?でもくわしく紹介しています。

「少しずつ」がいちばん大事な理由

猫は、ごはんをほとんど食べない日が続くと、体の脂肪が肝臓にたまってしまう「肝リピドーシス(脂肪肝)」という病気になることがあります。

コーネル大学の猫の健康センターの解説では、太りすぎの猫で特に多いとされていて、イリノイ大学獣医学部のコラムでも、太りぎみの猫はなりやすいと紹介されています。タフツ大学の解説では、数日以上食べないことがきっかけになるとされています。つまり、太りぎみの子ほど「ごはんを急に減らす」「食べなくなってもそのままにする」が危ないのです。

すぐに動物病院へダイエット中に、ごはんをほとんど食べない日が続くときは、様子を見ずに動物病院に連絡してください。このサイトでは、まる1日以上ほとんど食べないときは早めに相談を目安にしています。イリノイ大学のコラムでも「食べなくなったら、早めに獣医さんへ」とされています。ぐったりしている、吐く、皮ふや白目が黄色っぽい、といったようすがあるときも急ぎます。

減らすペースの目安

AAHAの飼い主さん向けの解説では、猫は1週間に体重の1〜2%までにして、それより速く減らさないようにとされています。PDSAの資料では、1週間に、はじめの体重の1%くらいがよい目標とされています。獣医さん向けの肥満予防協会(APOP)の資料では、猫は1か月に2〜5%くらい(1週間なら0.5〜1.2%くらい)がめやすとされています。

まとめると、「1週間に1%前後」くらいのゆっくりしたペースが安心です。数字にすると、こんな感じです。

いまの体重 1週間の1% 4週間でだいたい
5kg 約50g 約200g
6kg 約60g 約240g
7kg 約70g 約280g
体重の減り方のイメージ(6kgの子の場合) 6.0kg 5.5kg 5.0kg 1週間に約1%ずつ(ゆっくり) 急に減らす(危ない) 12週で約5.3kg 0週 4週 8週 12週
1週間に1%ずつ減らしたときの計算上のイメージです。実際は、週によって減ったり止まったりしながら進みます。

グラフを見ると、「12週間かけて、たったこれだけ?」と思うかもしれません。でも、猫の体にとっては、このくらいがちょうどいいペースです。目標の体重までは、何か月もかかることがふつうなので、あせらずにいきましょう。

ダイエットの進め方

  1. 獣医さんに相談する病気がかくれていないかを見てもらい、目標の体重と、1日のごはんの量を決めてもらいます
  2. いまの量を知る1日に食べているごはんを、まず量ってみます。おやつや、家族がこっそりあげているものも、ぜんぶ書き出しましょう
  3. ごはんを量ってあげるPDSAの資料では、1日分のごはんを朝のうちに量っておく方法が紹介されています。目分量だと、少しずつ多くなりがちです
  4. 2週間ごとに体重を量るAAHAの解説では、2週間ごとに体重を量って、進みぐあいを見ることがすすめられています
  5. 獣医さんと見直す減りすぎ・減らなさすぎのときは、量を少しずつ調整します。自分だけで大きく減らさないようにしましょう

1日のカロリーの目安は、ごはんの量の目安で計算できます。ただし、太りぎみの子は、いまの体重で計算すると多めに出ることがあります。ダイエット中の量は、獣医さんに決めてもらった数字を優先してくださいね。

体重を量る 記録する 見直す 続ける 2週間ごとに、くり返す 「見直す」は、獣医さんと相談しながら
量る → 記録する → 見直す → 続ける、を2週間ごとにくり返していきます。

獣医さん向けの資料(APOP)では、ダイエット中は2〜4週間ごとに見直し、減り方が足りないときは、まず食べている量やおやつを確かめてから、カロリーを5〜10%ほど調整する、とされています。いっぺんに大きく変えないのがポイントです。

おやつとのつきあい方

ダイエット中でも、おやつをゼロにしなくて大丈夫です。WSAVA(世界小動物獣医師会)の資料では、おやつは1日のカロリーの10%までとされています。理想の体型のおとなの猫で、体重2.5kgの子なら約18kcal、7kgの子でも約28kcalまでが目安です。

1日のカロリーの内訳(めやす) ごはん(総合栄養食)90% 10% おやつはここまで おやつのぶん、 ごはんを少し控えます
WSAVAやAAHAでは、おやつは1日のカロリーの10%までとされています。
こうするとつづけやすい
  • おやつは1日分を先に小皿に分けておく
  • 1つぶを小さく割って、回数で楽しむ
  • ごほうびを「遊び」や「なでなで」にかえる日もつくる
気をつけたいこと
  • 家族それぞれが、べつべつにあげている
  • 人の食べものを少しずつ分けている
  • おやつでごはんのかわりにしている

WSAVAの資料では、人の食べものはカロリーが高いものが多く、少しでもおやつの枠をこえてしまうことがある、とされています。PDSAの資料にも、「猫は、おやつがなくても愛されていることをわかっている」という、すてきな言葉がありました。

遊びで、からだを動かす

ごはんの見直しとあわせて、遊ぶ時間も少しずつふやしてみましょう。AAHAの解説では、1日2回、10〜15分ずつ遊ぶ時間をつくることがすすめられています。PDSAの資料では、猫はもともと「短い時間に、ぱっと動く」のが得意な動物なので、こまめに遊ぶのが合っているとされています。

1日2回の遊びタイムじゃらしなどで、10〜15分ずつ。ごはんの前に遊ぶと、ちょうどいい流れになります
パズルフィーダーAAHAの解説では、ごはんの時間を楽しく、からだを使う時間にできるとされています
少しずつ、何回かにPDSAの資料では、猫は少しずつ何回にも分けて食べるのが好きとされています。1日分を分けてあげるのも手です

いきなり長く遊ばせようとしなくて大丈夫です。PDSAの資料でも、ごはんや運動を「大きく・急に」変えないようにとされています。うちの子が楽しめる遊びを、少しずつ見つけていきましょう。

多頭飼いのときは

猫が何匹かいるおうちでは、ほかの子のごはんを食べてしまうことがあります。PDSAの資料では、ほかの猫に食べられてしまうなら、ごはんを出しっぱなしにしないほうがよい、とされています。ごはんの時間だけ部屋を分けるなど、その子たちに合った方法を、獣医さんとも相談してみてください。

ダイエット中に毎日見ておきたいこと

  • ごはんを、いつもどおり食べているか
  • 元気があって、遊びにのってくるか
  • うんち・おしっこが、いつもどおりか
  • 体重を2週間ごとに量れているか
  • 体型を、ときどきさわって確かめているか

PDSAの資料では、体重計だけにたよらず、数週間ごとに体型も確かめることがすすめられています。体重チェックで、前回から何%変わったかを見ておくと、ペースが速すぎないかがわかります。

記録するときは

記録するときは体重といっしょに、その日のごはんの量・おやつ・遊んだ時間を書いておくと、獣医さんと見直すときにとても役立ちます。「この週は減らなかったけど、おやつが多かったな」と、ふり返りやすくなります。量るときは、いつも同じ方法・同じ時間にそろえましょう。量り方は嫌がる猫の体重の量り方で紹介しています。
体重が減らない週があっても、がっかりしないでね。記録をつづけていれば、ちゃんと流れが見えてくるよ。

まとめ

猫のダイエットは、1週間に1%前後のゆっくりペースで、何か月もかけて進めるものです。ごはんを急に減らしたり、食べない日をそのままにしたりしないことが、いちばんの約束です。

ごはんを量る、おやつは10%まで、1日2回の遊び、そして2週間ごとのふり返り。小さなことの積み重ねが、うちの子の軽やかな毎日につながっていきますよ。

この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。

参考にした情報

この記事といっしょに使えるねこツール

きょうのうちの子を、30秒で記録してみませんか?

まいにち記録をつける

あわせて読みたい