猫のワクチンの基本|種類とスケジュールの考え方、室内飼いの場合
この記事でわかること
- コアワクチン(3種混合)と、暮らし方で考えるノンコアワクチンのちがい
- 子猫のスケジュールと、おとなの猫の追加接種の考え方
- 室内飼いでもワクチンを考えたい理由と、接種の日のこと
ワクチンのお知らせはがきが届いて、「うちの子はずっとお部屋の中だけど、毎年打ったほうがいいのかな?」と迷ったことはありませんか。
猫のワクチンは、じつは その子の年齢や暮らし方によって、えらぶ種類も間隔も変わる ものです。この記事では、世界小動物獣医師会(WSAVA)や、アメリカの動物病院協会(AAHA)と猫の獣医師会(AAFP)のガイドラインの考え方をもとに、基本をやさしくまとめました。
ワクチンの種類
どの子にもすすめられる「コアワクチン」
WSAVAのガイドラインでは、世界のどの地域の猫にもすすめられる コアワクチン として、次の3つを挙げています。
- 猫パルボウイルス(猫汎白血球減少症)
- 猫ヘルペスウイルス(猫ウイルス性鼻気管炎)
- 猫カリシウイルス
日本でよく聞く「3種混合ワクチン」は、この3つをまとめて予防するものです。新潟県の案内でも、3種混合はこの3つの病気が対象と紹介されています。
暮らし方で考える「ノンコアワクチン」
福岡市の案内では、3種混合に猫白血病ウイルス感染症やクラミジア感染症などを加えた5〜7種の混合ワクチンや、単独のワクチンもあると紹介されています。これらは、外に出るか、ほかの猫と会うかなど、その子の暮らし方を見て考える ものです。
猫白血病ウイルスについては、AAHA/AAFPのガイドラインでは1歳未満の猫にはコアとしてすすめていて、打つ前に感染していないかを検査するように、としています。1歳をすぎてからは、外に出るなどリスクが高い子は毎年、それほどふれる機会がない子は2〜3年ごとも考えられる、とされています。WSAVAも、この病気が多い地域では1歳未満の若い猫や、外に出る猫、外に出る猫といっしょに暮らす猫にすすめています。
子猫のスケジュールの考え方
子猫は、お母さん猫からもらった免疫(移行抗体)が残っているあいだは、ワクチンが効きにくいことがあります。そのため、数週間おきに何回か 打つのが基本です。
ガイドラインごとの書き方は、こんなふうに少しずつちがいます。
| はじめる時期 | 間隔 | 子猫の最後の1回 | 追加の1回 | |
|---|---|---|---|---|
| WSAVA 2024 | — | 2〜4週おき | 16週以降 | 26週以降 |
| AAHA/AAFP 2020 | 6週より前には打たない | 3〜4週おき | 16〜20週 | 6か月ごろ(1歳のかわりに)も考える |
| 福岡市の案内 | 8〜9週以降 | 2〜4週おき | 2〜3回 | — |
シドニー大学の動物病院の案内では、6〜8週で打ちはじめ、2〜4週おきにくり返し、ギャップをなくすために6か月ごろの追加をすすめることがある、とされています。福岡市の案内では、免疫がつくまで2〜3週間かかるので、そのあいだはほかの猫との接触をひかえるのが望ましい とされています。
おとなの猫:毎年?それとも3年ごと?
ここがいちばん迷うところですよね。ガイドラインによって、書き方がちがいます。
- AAHA/AAFP(2020):子猫のシリーズと追加の1回のあとは、コアワクチンは 3年ごと
- WSAVA(2024):おとなの猫のコアワクチンは 必要以上に多く打たない。いまの多くのワクチンは、何年も免疫が続くとされています
- シドニー大学の動物病院:リスクが低い子は3年ごとより短くしない。ペットホテルなどリスクが高い子は、毎年(あずける1〜2週間前ごろ)をすすめることも
- 福岡市の案内:次の年からは、1年に1回が免疫を保つのに望ましい
どれが正しい、というよりも、うちの子がどのくらい病気にふれる機会があるか で考えるのがポイントです。AAHA/AAFPのガイドラインでは、このリスクの見直しを少なくとも年に1回するように、とされています。
お世話カレンダーでは、ワクチンの間隔をはじめは1年にしていますが、獣医さんと決めた間隔に変えてつかってくださいね。
室内飼いでもワクチンは必要?
室内だけで暮らす子は、外に出る子にくらべてリスクは低めです。だからこそ、ノンコアのワクチンや追加の間隔は、その子に合わせて考えていけます。一方で、コアワクチンはどの子にもすすめられているので、「室内だから打たなくていい」と自分で決めずに、獣医さんと相談しましょう。
こんなときは、暮らし方が変わるタイミングです。
- ペットホテルにあずける予定がある
- 新しい猫をむかえる、保護猫をあずかる
- 外に出るようになった、脱走したことがある
- 引っ越しで、ほかの猫と会う機会が増えそう
接種の日のこと
- 午前中の早い時間に福岡市の案内では、接種のあとに異変があってもすぐに受診できるよう、午前中の早い時間の接種がすすめられています
- からだのチェックもいっしょにAAHA/AAFPのガイドラインでは、ワクチンの受診ではかならずしっかりとした身体検査をする、とされています。気になることはメモして伝えましょう
- 帰ったら、静かに過ごす接種のあとは安静にして、興奮させたり激しく遊ばせたりしないように
- しばらくはようすを見る元気や食欲が少し落ちる、熱が出るといった一時的な反応がみられることがあります。長引くときや気になるときは、接種した病院に相談を
記録するときは
ワクチンの証明書は、ペットホテルや、はじめての病院、もしものときの避難でも役に立ちます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 接種した日・病院 | 11/2 ◯◯動物病院 |
| ワクチンの種類 | 3種混合 など(証明書の写真も) |
| 接種のあとのようす | 夕方まで少し眠そう、ごはんはふつう |
| 次の予定 | 獣医さんと決めた日 |
接種のあとのようすは通院メモにまとめておくと、次の接種のときに伝えやすくなります。健康診断といっしょに考えたいときは、猫の健康診断ガイドも読んでみてください。
まとめ
コアワクチン(3種混合)はどの子にもすすめられるもの、ノンコアワクチンは暮らし方で考えるもの。子猫は数週間おきに何回か、おとなの猫の間隔は、毎年から3年ごとまで考え方に幅があります。だからこそ、うちの子の暮らし方を伝えて、かかりつけの獣医さんといっしょに決めていきましょうね。
この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。
参考にした情報
- WSAVA「2024 Guidelines for the Vaccination of Dogs and Cats」
- AAHA「2020 AAHA/AAFP Feline Vaccination Guidelines:Core Vaccines for Pet Cats」
- 2020 AAHA/AAFP Feline Vaccination Guidelines(全文PDF)
- The University of Sydney Veterinary Teaching Hospital「Cat vaccinations」
- 福岡市 わんにゃんよかネット「猫のワクチンについて」(PDF)
- 新潟県 糸魚川地域振興局 健康福祉部「ねこの飼い方」
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