キャリーに慣れてもらうには|通院のストレスを減らす6つの段階
この記事でわかること
- 通院しやすいキャリーのえらび方(上のふたが外せる・1匹に1つ)
- キャリーを「安心できる場所」にする6つの段階
- 持ち方、車での置き場所、とても怖がる子のための相談
キャリーを押し入れから出したとたん、さっきまでそばにいた子がベッドの下へ。なんとか入れても、病院までずっと鳴いていて、こちらまで胸がぎゅっとなってしまう。そんな経験、ありませんか。
キャリーが「病院の日にだけ出てくる箱」だと、猫にとってはこわいものになりやすいです。でも、少しずつ練習すれば、キャリーを安心できる場所にしていく ことができます。この記事では、アメリカの猫の獣医師会(AAFP)などの資料をもとに、慣れてもらう段階をまとめました。
どうしてキャリーが苦手になるの?
猫は、なじみのにおいがする自分の縄張りで安心して暮らしています。キャリーがふだんは押し入れの奥にしまってあって、出てくるのは病院の日だけ。そうすると、「キャリーが出てくる → 知らない場所へ連れていかれる」と覚えてしまっても、ふしぎではありませんよね。
だから練習のいちばんの目的は、キャリーを 「病院の箱」から「いつもの寝床のひとつ」 に変えていくことです。AAFPも、キャリーをおうちの中の猫が好きな場所に置き、お気に入りの毛布やなじみのにおいのする寝床、おやつを入れて、楽しく安全な場所にするように、としています。
まずはキャリーえらびから
AAFPは、上のふたが外せるキャリー をえらぶと、獣医さんがふたを外して、猫を下の部分に入れたまま診察しやすくなる、としています。イギリスのブリストル大学の動物病院(Langford Vets)も、上から出し入れできるキャリーは出てきたがらない子のときに助かり、前の扉だけのキャリーは、いやがる子を出すのがむずかしくなる、としています。
大きさの目安と1匹に1つという考え方は、それぞれLangford VetsとAAFPの資料によるものです。
慣れるまでの6つの段階
AAFPの資料では、キャリーに慣れてもらう段階が紹介されていて、ひとつの段階に十分に慣れてから、次へ進む ように、とされています。オーストラリアのRSPCAの手順もあわせて、6つにまとめました。
- 部屋に出しておく猫がふだん好きで過ごしている部屋に、扉を開けたまま置いておきます。中にはなじみの毛布や寝床を。AAFPは、病院の日だけでなく、ふだんから置いておくほうがずっとよい、としています
- 中でおやつ・おもちゃにおいをかぐ、さわる、一歩入るといった小さなことでも、ほめておやつを。中でくつろいでいたら、おだやかにほめてあげます(与えてよいおやつは、獣医さんに確認を)
- ふた・扉をつける上のふたが外せるキャリーなら、はじめは下の部分だけで。慣れたらふたをつけ、そのあと扉をつけて、開けたままにしておきます
- 扉を数秒だけ閉めるRSPCAの手順では、はじめは数秒だけ閉めて、すぐにごほうびをあげて開けます。落ち着いていられたら、少しずつ時間をのばします
- 底から持ち上げるまずは床から少しだけ、数秒持ち上げてごほうびを。高さは腰くらいまでにして、慣れたら家の中を少し歩きます。AAFPは、持ち手だけで持たず、底から持つように、としています
- 数分のドライブLangford Vetsは、はじめは近所をひとまわりする数分くらいの短いドライブから、としています。落ち着いていられたら、少しずつ時間をのばします
運び方と、車でのコツ
- 家を出る前に、毛布や厚手のタオルでおおう
- 底から両手で支えて、ゆらさない
- 車では座席のあいだの床か、シートベルトで固定
- ゆっくり運転して、音楽は小さめに
- 汚れたときのための、予備の毛布
- 持ち手だけで、ぶらさげて運ぶ
- 出かける直前にごはんをあげる
- 移動中にキャリーを開ける
- 何匹かを1つのキャリーに入れる
Langford Vetsは、猫は車に酔いやすいので、出かける直前にごはんをあげるのは避けて、としています。病院に着いたあとも、タオルをかけたままにしておくと、待合室のほかの動物が目に入りにくくなります。
帰ってきてから
多頭飼いのおうちでは、病院のにおいがついて帰ってきた子に、ほかの子がびっくりすることがあります。AAFPの資料では、こんな順番がすすめられています。
- まずは キャリーの扉を閉めたまま 、ほかの猫の反応を見る
- シャーッと怒るようなら、必要なものをそろえた別の部屋で休ませる
- それぞれのにおいのついた寝床を交換して、いつものにおいに戻していく
- 数時間ほど(手術のあとなどはもっと長く)たってから、少しずつ会わせる
- まだ怒ったり逃げたりするなら、もう少し離して時間をおく
帰ってきたあとのキャリーは、すぐにしまわずにそのまま部屋に置いておきましょう。おやつを入れておくと、「キャリー=こわいだけの場所」にならずにすみます。
とても怖がる子は
キャリーに入るときや病院でのようす(鳴く、よだれ、震えるなど)は、次の受診のときに伝えると、獣医さんが負担の少ない診察のしかたを考えてくれることもあります。
もしもの避難のためにも
キャリーに慣れておくことは、通院だけでなく、災害のときにいっしょに避難するためにも大切です。練馬区のペットの災害対策の資料でも、ふだんから ケージやキャリーに入ることに慣れさせておく ことがすすめられています。
- キャリーを、ふだんから部屋に出しておく
- キャリーにかける布やタオルを、すぐ出せる場所に
- 猫の場合は、洗濯ネット(逃げないように確保したり、運んだりするため)
- ワクチンの記録、持病、かかりつけの病院のメモ
- 迷子札やマイクロチップの情報
ほかの持ち物は、防災チェックリストでひとつずつ確かめられます。
記録するときは
- いまどの段階まで進んだか
- いやがったこと、落ち着いていられた時間
- 好きなおやつ、落ち着く毛布
- 通院のあとのようす
病院で伝えたいことは通院メモにまとめておけます。受診の前の準備は動物病院に行く前にまとめておくことでも紹介しています。
まとめ
キャリーは、病院の日だけの箱ではなく、ふだんから置いておく「安心できる場所」に。部屋に出しておく、おやつをあげる、扉を少しだけ閉める、持ち上げる、短いドライブ。1段ずつ、うちの子のペースでのぼっていけばだいじょうぶです。通院の日が、少しでもおだやかな日になりますように。
この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。
参考にした情報
- American Association of Feline Practitioners「Getting Your Cat to the Veterinarian」
- RSPCA Australia Knowledgebase「How can I train my pet to feel comfortable in a transport carrier?」
- Langford Vets(University of Bristol)「Travelling with your cat to the Feline Centre」
- Cat Friendly Homes「Cat2VetDay 2024 Checklist」
- 練馬区「ペットの災害対策 日ごろの備え」(PDF)
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