猫の歯みがきと口のチェック|はじめ方と受診の目安
この記事でわかること
- 猫の歯と歯ぐきのトラブルは多く、痛みをかくしやすいこと
- 口にさわるところから、数週間かけて慣らす歯みがきのはじめ方
- 年に1回は獣医さんに口を見てもらうことと、早めに受診したいサイン
あくびをしたときに、ちらりと見える小さな歯。かわいいけれど、ふだんじっくり見ることは少ないかもしれませんね。
じつは、猫の歯や歯ぐきのトラブルはとても多いといわれています。しかも猫は、口が痛くても、なかなか表に出さない動物です。この記事では、おうちでできる口のチェックと、歯みがきのはじめ方、獣医さんに見せたいサインをまとめました。
猫の口のトラブルは、とても多い
コーネル大学の猫の健康センターの解説では、4歳をこえた猫の50〜90%に、なんらかの歯の病気があるとされています。AAHA(米国動物病院協会)も、3歳になるころには、ほとんどの犬と猫になんらかの歯周病があるとしています。
また、猫に多い「歯の吸収病巣(歯が内側からとけていく病気)」は、コーネル大学の解説では30〜70%の猫に何らかのサインが見られるとされ、PDSAの資料でも飼い猫の3分の1以上に見られるとされています。
それなのに、コーネル大学の解説では、猫は痛みをほとんど見せないとされています。「ごはんを食べているから大丈夫」とは、かぎらないのですね。
おうちでできる、口のチェック
まずは、口をのぞくことに慣れるところから。猫がリラックスしているときに、くちびるをそっとめくって、歯と歯ぐきを見てみましょう。いやがったら、すぐにやめて大丈夫です。
- 歯ぐきのきわが、赤くなったり腫れたりしていないか
- 歯に、黄色や茶色のかたまり(歯石)がついていないか
- 欠けた歯、ぐらぐらする歯、なくなった歯がないか
- 口のにおいが、いつもよりきつくないか
- よだれが出ていないか、口のまわりがぬれていないか
- 片側だけでかむ、かたいごはんをいやがる、などがないか
歯みがきは、数週間かけて慣らす
コーネル大学の解説では、毎日の歯みがきで、ほとんどの歯の病気は防げるとされています。PDSAの資料でも、歯みがきは歯の病気を防ぐ「いちばんの方法」とされています。歯の表面のよごれ(歯垢)は、時間がたつとかたい歯石になってしまうので、こまめに落としてあげたいですね。
とはいえ、いきなり歯ブラシを入れるのはむずかしいもの。猫の飼い主さん向けの情報サイトCat Friendly Homesでは、数週間かけて少しずつ慣らしていく方法が紹介されています。コーネル大学の解説でも、4週間かけて慣らしていく進め方が紹介されています。
- 口のまわりにさわる落ちついているときに、くちびるにそっとさわり、指で歯と歯ぐきをなでます。できたら、すぐにごほうびを。何回かに分けて慣らします
- ガーゼでふれる指にしめらせたやわらかいガーゼを巻いて、歯と歯ぐきにふれます
- ペーストと歯ブラシに慣れる猫用の歯みがきペーストをガーゼにつけたり、歯ブラシからなめてもらったりします。歯ブラシを顔にあてて、くちびるの下へそっと入れてみます
- みがく猫のうしろ側からそっと近づいて、歯ぐきのきわを小さく円をかくようにみがきます。まずはくちびるのすぐ内側の、外側の面から。慣れてきたら、全部の歯の外側へ広げていきます
Cat Friendly Homesの解説では、みがく時間は1日1回、2〜3分くらいが目安とされています。毎日同じ、しずかな時間にすると習慣にしやすく、少しでもいやがったら、そこでやめて、また別のときにためすのがコツです。ごほうびは、その子がいちばん好きなもの(ごはんを少し、遊び、なでなでなど)を、落ちついているうちにすぐにあげましょう。
歯みがきがむずかしいときは
- 指に巻いて使う、歯みがきシートでふく(Cat Friendly Homesで紹介されています)
- 歯のためのごはんやジェル(PDSAの資料で紹介されています)
- 製品を選ぶときは、獣医さんに聞いてみる
- 押さえつけて、むりにみがく
- 人用の歯みがき粉・マウスウォッシュを使う
- 「みがいているから」と、口のチェックを省く
Cat Friendly Homesでは、歯のケア用品を選ぶときの手がかりとして、VOHC(獣医口腔衛生協議会)のマークが紹介されています。どれが合うかは、その子の口の状態にもよるので、かかりつけの獣医さんに相談してみてくださいね。
獣医さんに見せたいサイン
PDSAの資料では、口のことで気になることがあれば、動物病院の予約をとされています。歯の病気は、早く気づくほど治療がしやすいそうです。こんなようすに気づいたら、相談してみましょう。
- 口のにおいがきつい
- 歯ぐきが赤い、腫れている、血が出る
- 前足で口や顔をさわる
- 片側だけでかむ、食べにくそう、食べる量が減った
- かたいごはんをいやがる、やわらかいものばかり食べたがる
- よだれが出る、顔が腫れている、体重が減ってきた
- ぐらぐらする歯、欠けた歯、なくなった歯がある
- よだれが急にふえた、ずっと止まらない
- 痛そう、つらそうにしている
- 吐く、下痢をしている、ぐったりしているなど、ほかにも気になるようすがある
- 毒になるものを口にしたかもしれない
年に1回は、口も見てもらう
PDSAの資料では、少なくとも年に1回は、獣医さんに口をチェックしてもらうことがすすめられていて、ワクチンのときなどに合わせるとよいとされています。
コーネル大学の解説では、口の中で何が起きているかを本当に確かめるには、全身麻酔をかけて歯を調べる必要があるとされています。歯のクリーニングも、全身麻酔をかけて行うと紹介されています。麻酔が心配なときは、えんりょなく獣医さんに聞いてみましょう。AAHAも、麻酔をかけない歯のクリーニングのリスクについて、獣医さんのチームから飼い主さんへ伝えることを求めています。
健康診断の次の日は、お世話カレンダーに入れておくと忘れにくくなります。受診のときに聞きたいことは、通院メモでまとめておけます。受診前の準備は動物病院に行く前にまとめておくことも参考にしてください。
記録するときは
まとめ
猫の歯と歯ぐきのトラブルはとても多く、しかも痛みをかくしやすいもの。だからこそ、おうちでときどき口をのぞいて、年に1回は獣医さんにも見てもらいましょう。
歯みがきは、口のまわりにさわるところから、数週間かけてゆっくりと。猫用のペーストで、1日1回を目標に。できない日があっても大丈夫です。うちの子のペースで、少しずつ続けていきましょう。
この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。
参考にした情報
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