猫の血液検査のBUN・CREとは?結果の見方と記録のしかた
この記事でわかること
- BUNとCREが、からだのどんな働きを見ている数字なのか
- 腎臓以外の理由でも数字が動くことと、基準値が検査機関ごとにちがうこと
- 検査結果を「流れ」で比べられる記録のしかた
健康診断の結果をもらうと、アルファベットの項目がずらりと並んでいて、どこを見ればいいのか迷ってしまいますよね。その中でもよく話題になるのが、BUN(ビーユーエヌ) と CRE(クレアチニン) です。
「腎臓の数値」と言われることが多いこの2つ。どんなことを見ている数字なのかを知っておくと、獣医さんの説明がすっと入ってきやすくなります。
この記事は、検査結果の数字から病気を判断するためのものではありません。結果の意味は、かならずかかりつけの獣医さんに確認してくださいね。
BUN・CREってどんな数字?
BUN(尿素窒素)
BUNは、血液の中の 尿素窒素 の量です。たんぱく質がからだの中で使われたあとにできる「もえかす」のようなもので、肝臓でつくられ、おもに腎臓からおしっこに出ていきます。
CRE(クレアチニン)
CREは、筋肉 で毎日ほぼ一定の量つくられる老廃物です。これも腎臓でこされて、おしっこに出ていきます。
どちらも「腎臓がきちんとこし出せているか」の手がかりになるので、腎臓の数値と呼ばれています。
数字は、腎臓以外の理由でも動く
ここがいちばん大切なポイントです。BUNもCREも、腎臓だけで決まる数字ではありません。
BUNが動く理由
検査機関IDEXXの解説では、BUNは腎臓の病気だけに特別な数字ではなく、腎臓以外のいろいろな理由で変わるとされています。たとえば、こんなときにも上がることがあります。
CREが動く理由
CREは筋肉からできるので、筋肉の量 に影響を受けます。コーネル大学の猫の健康センターの解説では、とてもやせて筋肉が少ない猫だと、腎臓の働きが落ちていてもCREが正常の範囲に見えることがある、とされています。また、脱水でもBUNとCREの両方が上がることがあります。
さらに、CREは 腎臓の働きがかなり落ちてから上がり始める 数字でもあります。コーネル大学の解説では、ふつう腎臓の働きの75%くらいが失われるまでCREは上がらない、とされています。
SDMAという項目も
最近の健康診断では、SDMA という項目が入っていることもあります。コーネル大学の解説では、SDMAは脱水や筋肉量の影響をCREより受けにくく、腎臓の働きが40%くらい落ちた段階で上がり始めるため、より早く気づける可能性があるとされています。
腎臓病のステージ分類を出している国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)の指針でも、CREとSDMAをあわせて見ることがすすめられています。
基準値は、検査機関ごとにちがう
結果の紙には、それぞれの項目に「基準値」や「参考範囲」が書かれていますね。この 基準値は、検査する機関や機械によってちがいます。
- ネットで見た数字と、うちの子の結果の基準値がちがうのはふつうのこと
- 病院を変えたり、院内検査と外部検査で、数字の出方がちがうこともある
- 基準値の範囲に入っているか・いないかだけで、よしあしは決まらない
この記事でも、あえて具体的な基準値の数字はのせていません。うちの子の結果は、その結果の紙に書かれた基準値と、獣医さんの説明で見てくださいね。
1回の数字より、流れで見る
BUNやCREは、1回だけの数字よりも、前回からどう変わったか が大切な手がかりになります。
コーネル大学の解説では、腎臓の状態を見るときは、落ち着いていて水分が足りている状態で、2週間以内に2回、血液とおしっこの検査をすることが理想とされています。IRISの指針でも、落ち着いた状態での、空腹時のCREを少なくとも2回はかることが基本とされています。
それだけ、1回の数字はその日の体調などでゆれることがある、ということですね。
おしっこの検査もいっしょに
腎臓のことを見るときは、血液だけでなく おしっこの検査 も大切です。コーネル大学の解説では、おしっこの濃さ(尿比重)がうすくなることが、腎臓病の早いサインのひとつになりうるとされています。International Cat Careでも、腎臓の病気ではおしっこがうすくなり、飲む量とおしっこの量が増えることが紹介されています。
シニアになったら、定期的に
コーネル大学の解説では、腎臓病は年を重ねた猫にとても多い病気で、10歳以上の猫の約40%、15歳以上の猫の約80%にみられるとされています(割合は情報源によってちがい、International Cat Careでは15歳以上の20〜50%と紹介されています)。
アメリカの猫の獣医師会(AAFP)のシニアケアのガイドラインでは、7〜10歳ごろから少なくとも年に1回、腎臓の数値をふくむ血液検査や尿検査をすること、年齢とともに回数を増やしていくことがすすめられています。検査の間隔は、うちの子の状態に合わせて獣医さんと相談してください。
記録するときは
検査結果は、もらった紙をそのまま保管するのに加えて、主な項目だけでも表にまとめておく と、流れがひと目でわかります。
記録しておきたい項目
| 検査日 | 検査機関 | BUN | CRE | SDMA | 尿比重 | 体重 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026/4/10 | ◯◯動物病院(院内) | 4,200g | 健康診断 | ||||
| 2026/10/12 | 外部検査 | 4,120g | 半年後の再検査 |
- 検査機関と、その日の基準値もいっしょに書く:基準値がちがうと、数字をそのまま比べられないことがあります
- 単位も書く:mg/dL など、単位がちがうと数字の見え方が変わります
- その日の状態をメモ:ごはんを食べてから何時間か、吐いたあと、などの状態も、数字を読み解く手がかりになります
- 体重もいっしょに:CREは筋肉量の影響を受けるので、体重や体型の変化といっしょに見られると役立ちます
- お水の量もわかれば:飲む量の変化は、腎臓のことを相談するときに大切な情報です。お水の量チェックで目安を確かめられます
獣医さんに聞いておきたいこと
- 今回の数字は、前回と比べてどうですか?
- 次の検査はいつごろがいいですか?
- おうちで気をつけて見ておくことはありますか?(お水の量、おしっこ、体重など)
聞きたいことは、通院メモで前もって整理しておくと、診察室であわてずにすみます。
まとめ
BUNとCREは、腎臓の働きを知る手がかりですが、脱水や食事、筋肉の量などでも動く数字です。基準値は検査機関ごとにちがうので、ネットの数字と比べるより、うちの子の前回の結果と比べて、獣医さんといっしょに見ていきましょう。結果をこつこつ表にしておくと、その流れが、うちの子を守る大切な手がかりになります。
この記事は、診断や治療のためのものではありません。いつもとちがう様子が続くとき、急に具合が悪くなったときは、早めにかかりつけの獣医さんに相談してください。
参考にした情報
- Cornell Feline Health Center「Chronic Kidney Disease」
- IDEXX「Complete Chemistry Panel Interpretation Guide」
- International Cat Care「Chronic kidney disease (CKD) in cats」
- International Renal Interest Society(IRIS)「IRIS Guidelines」
- 富士フイルム「猫の病気:腎臓病」
- American Association of Feline Practitioners「Senior Care Guidelines(summary)」
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